ハロー効果とは
ハロー効果とは、他人の目立った特徴に引きずられて、その他人の持つ他の特徴も引っ張られるようにイメージしてしまう心理現象を言います。
『ハロー(halo)』とは『後光・光輪』という意味なので、『後光効果』『光背効果』とも呼ばれます。
具体例
採用面接において、有名大学を卒業している学生を面接したとします。本来学力と仕事の出来は関係ありませんが、賢いというイメージだけで仕事ができる人だと面接官は思ってしまうのです。
このエラーがハロー効果です。
ある特徴が、実際には関係のない特徴にまで影響が及び、その人のイメージを勝手に形成してしまうのです。
ポジティブハロー効果
ポジティブハロー効果とは、目立った特徴を評価した結果、他の特徴をも実際よりも高く評価してしまうことを言います。
ポジティブハロー効果の具体例:広告、CM
化粧品の広告に好感度の高い女優や、清楚なイメージを持った女優を起用する手法が行われています。
今までに一度も使用したことがない商品でも、有名な女優が商品を紹介しているだけで魅力的に感じてしまいます。女優に対する評価が高いため、消費者はその女優が紹介する商品はとてもいい商品だと踊らされてしまうのです。
ネガティブハロー効果
ポジティブハロー効果とは反対に、目立った特徴を評価して、他の特徴を実際よりも低く評価してしまうことを言います。
ネガティブハロー効果の具体例:「ゆとり世代」
ゆとり教育を受けてきた若い世代の方たち(ゆとり世代)の特徴は、意欲的でない、忍耐力がない、付き合いが悪いなどと決めつけてしまい、ゆとり世代というだけでその人を批判する方もおられます。
ゆとり教育を受けた者全員がその特徴を持っているとは限らないのに、「これだから、ゆとり世代は…」と一括りに考えて評価してしまい、個人を評価しようとしないのです。
ゆとり世代の持つマイナスイメージに引っ張られてしまい、偏見を抱いてしまうネガティブハロー効果となっています。
ハロー効果の実験
ホームレス姿とスーツ姿では周囲の対応が異なる実験
ハロー効果が、私たちや周りの人たちにどれだけの影響を与えているのかがよくわかる実験です。
容姿や身だしなみが違うだけで、通り行く人々の反応が全く違っています。
ホームレス風の男性とスーツを着た男性が路上で倒れたときの周囲の反応が全く違います。
ホームレス風の男性が倒れても5分以上放置され続けたことに対して、スーツを着た男性が倒れたらすぐに声をかけてくれました。
なぜ周囲の反応に違いがでたのでしょうか。
- ろくでもない人だ
- 倒れていても不思議ではない
- 近寄らないほうがいい
- 仕事をしているしっかりした人だ
- ビジネスマンが倒れているなんてただ事ではない
- 早く助けてあげないと!
おそらく、このような思考になっていたのだと思います。
同じ人物でも身なりが違っていたというだけで、関わり方や対応も大きく変わってしまうというハロー効果の現象がはっきりと見られますね。
印象形成実験
もう一つ紹介しましょう。
被験者をAとBのグループに分け、人物の特性を列挙した紙を見せました。
両者の違いは「温かい」と「冷たい」が異なっているだけですが、いかがですか?たったこれだけの違いでも全く違う人物像がイメージされてきますよね。
そしてさらに紙を見せます。
お次は内容はまったく同じですが、提示順序が異なっています。
結果はどうなったかと言うと、どちらの実験も、
Ⓐ欠点はあるが、能力がある人
Ⓑ欠点があるため、能力があっても残念な人
となりました。
ある目立った特徴や最初に抱いた印象が、全体の評価に大きく影響することを示しています。
ハロー効果を活用すべし!
自分の意図しないところで、マイナスの印象を持たれてしまいかねないこの心理現象でも、裏を返せば、このハロー効果を活かすことで、自分の都合のいい印象を相手に与えることができるということです。
ポイントは、『相手にどのように思われたいのか考える』ことです。
自分が相手にどういう印象を与えたいのか、相手が求めている印象はどんな印象かをわかりやすく体現していきます。
ポジティブハロー効果をうまく引き出そう!
ポジティブハロー効果を引き出すには、自分のことを高く評価してもらう必要があります。
様々な場面で好印象を与えられるチャンスがありますので、パターンごとにいくつご紹介していきます。
どれか一つでも際立った部分を見せられれば、相手はあなたに好感を抱きやすくなります。
コミュニケーション編
- 同調、共感しながら話を聞く ⇒ 聞き上手
- ミスをしても言い訳をしない ⇒ 素直に受けとめることができる人
- 誰に対しても楽しそうに話す ⇒ 気さくな人、話しやすい人
- とにかく明るい ⇒ ムードメーカー
- 相手の性格や好み・趣味などを覚えている ⇒ 気が利く人
- 飲み会では積極的に席を移動して違う人とお話をする ⇒ 社交的な人
会話のネタ編
- 毎週ジムに通っている ⇒ スポーツや体を動かすことが好き
- カラオケが趣味 ⇒ 歌が上手い
- 旅行が好き ⇒ 好奇心旺盛
- 料理が得意 ⇒ 家庭的
身だしなみ編
- 爪を切っている ⇒ 細かいところまで身だしなみを意識している人
- 髪色が派手でない ⇒ 常識がある人、落ち着いている
- 服にシワや汚れがない ⇒ 清潔感がある
- 口臭、体臭ケアをしている ⇒ 気遣いができる人、清潔感がある
姿勢・行動編
- 歩幅が大きく、ペースも速い ⇒ 堂々としている
- いつも笑顔でいる ⇒ 親しみやすい人、明るい
- 「手伝いましょうか?」と声をかける ⇒ 周りをよく見ている、親切な人、気遣いができる人
- 礼儀作法をしっかりしている ⇒ 常識のある人
性格編
- 対応が早い ⇒ 行動力がある
- パーティーや飲み会に顔を出す回数が多い ⇒ 交友関係が広い
- 根に持たない、切り替えが早い ⇒ さっぱりしている、ポジティブに考えることができる人
- 何にでもチャレンジする ⇒ 成長意欲がある人、趣味の幅が広い
- 突然の誘いにも断らずに駆けつける ⇒ フットワークが軽い
ネガティブハロー効果を感じさせないためには・・・
一方で、ネガティブハロー効果を引き出させないように気を付けなければならない特徴もあります。
どれか一つでも当てはまるものがあれば、あなたの印象はマイナスのイメージで評価されているかもしれません。
コミュニケーション編
- 目を見て話さない ⇒ 自分に興味がないように思われる
- 自信のなさそうな態度 ⇒ 頼りなさそう
- 自己アピールが激しい ⇒ 謙虚さがない
- 相槌をしない ⇒ 話を聞いているのかわからない
- 人の話を最後まで聞かない ⇒ せっかち
- 笑顔を見せない ⇒ 暗そう、不機嫌に思われる
身だしなみ編
- 髪がボサボサ ⇒ 清潔感がない
- シワの寄った服 ⇒ だらしない
- 過度に露出の多い服装 ⇒ 非常識だ、我が強い、品がない
姿勢、行動編
- 腕を組んで話を聞く ⇒ 威圧的
- 猫背 ⇒ やる気がない、疲れている感じ
- うつむき加減な歩き方 ⇒ ダルそう、考え事をしていそうだから話しかけづらい
- 箸の持ち方が悪い ⇒ 育ちが悪い
- 肘をついている ⇒ 退屈そうに見える
- 椅子の背もたれに寄りかかる座り方 ⇒ ダルそう
- パソコンやスマホを見ている表情がしかめっ面 ⇒ 怖そう、話しかけづらい人
性格編
- 待ち合わせに平気で遅れる ⇒ ルールを守らない人
- 「まだ大丈夫だ」「明日でいい」が口癖 ⇒ 自分に甘い、面倒くさがり
- 思ったことをすぐに口に出す ⇒ 思いやりがない
- その場しのぎの考えで、言動に一貫性がない ⇒ 自己中心的な人
- 「もったいない」が口癖 ⇒ ケチな人
まとめ
「いい印象を与えたい!」と感じて皆さんが自然にやっていることや、「この人はなんだか話しかけづらいな」と思ったのなら、ハロー効果が働いているからかもしれません。
忘れてはならないのは、ハロー効果は自分にだけ起こる現象ではなく、日常生活において誰にでも自然に発生してしまうものだということです。
いつ、どんなときに人から見られているか分かりません。あなたは考え事をしていたときにどんなポーズをとっているか意識したことはありますか?そのときにどんな姿勢でどんな表情をしていたのかで、あなたの印象は決められてしまいます。意図しないところであっても、人は勝手に判断してしまうのです。
しかし、言い換えると、人は簡単にイメージを変えられるということです。
ハロー効果を活かせば無限にチャンスは広がります。自分の心がけ一つで好印象を与えられるので、まわりに人がいるときや相手と話すときは、是非意識していきたいですね。
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