「自分ばかりやってるのに、あいつはちっともしてくれない…」
「せっかくやってあげたのに、何もお礼ないのかよ…」
こんな風に不満を抱いたことはありませんか?
これは、「返報性の原理」と呼ばれる心理作用からきています。
返報性の原理とは?
返報性の原理とは、人から何か物をもらったりしたら、「何かお礼をしないと悪いな…」と思う心理作用のことを言います。
恩を受け取ると、人は「絶対に無駄にしない!」「いつかこの恩をお返ししたい!」と思うもの。もし自分だけが恩を受けてばかりの状態が続くと、人間はとても不快感を覚えるのです。
これは恋愛、仕事、家庭、友人、親戚付き合いなど…どの分野でも当てはまる原理であり、礼儀を重んじる日本人にとってはごく自然に起こりうる心理です。
また、返報性の原理は、他人から好意を受けたときにだけ起こる心理ではありません。
悪意を受けたとき、譲歩してもらったとき、自己開示をされたときも同様に「お返しする」という感情が湧きます。
返報性の原理の詳しい内容については、『「返報性の原理」とは?人の心を動かすテクニック』をご覧ください。
「返報性の原理」と人間関係
返報性の原理を利用して、「ここでこの人を助けたら感謝されるだろう」などと思って人と接していこうと考えていても、大抵は長くは続きません。
浮ついた心がばれてしまったり、「あいつは何を考えているかわからんやつだな」と警戒されてしまう可能性だってあります。
ここで大切なのは、「見返りを求めない」ということ。
「手伝ったのだからそれなりのお返しがあってもいいのでは?」と見返りを求めて行動すると、必ず相手に見透かされてしまいます。そうなってしまうと相手は不信感を募らせ、見返りどころか自分から遠ざかっていってしまいます。
見返りを求めれば求めるほど、得るものはどんどん失っていきます。
「見返りを求めずに、自分のために時間やお金を使ってくれている」と相手が感じてこそ、返報性の原理は効果を発揮します。
「ギブ&テイク」のテイク(もらう)を相手に求めても、それは単に強要してしまっているだけです。
人間関係を良くするためには、自分から「与える」ということを忘れないでください。
『わらしべ長者』というおとぎ話があります。
藁を手にしたことから始まり、目の前の困っている人を持っているもので助け、最後には大きな財を成すというお話です。
泣いている子供に与え、
喉が渇いて苦しんでいる商人に与え、
先を急いでいるお侍さんに与え、
馬を欲しがっていたお屋敷の主人に与える。
与えまくりの主人公ですが、物を与えたからと言って代わりにいい物が貰えると分かって行動したわけではありません。もし仮に、お返しに良い物をくれそうな人を選んで行動したとしても、決してこのような結果にはならなかったでしょう。
欲張らずに、思いやりのある行動をとればいつかは良い結果が訪れるといういい教訓です。
ギブ&ギブの精神で
人間関係を良くしていくための考え方は、「ギブ&ギブの精神」です。テイクのことは考える必要はありません。
ギブ&ギブの考え方は文字通り、「与える、そして与える」です。
与えまくっているので結局損をしているように思うかもしれませんが、ギブ&ギブの精神で生きていれば必ず別の形で恩恵を受けます。助けを求めていなくても、いつか自分を助けてくれます。ギブの回数が多い人ほど、返ってくるものも大きいのです。
精神論を言っているように聞こえますが、実際にビジネスで成功している人はみんなギブ&ギブの精神で、テイクのことは全く気にしていません。
あなたの周りにもいませんか?
会うたびにお菓子を持ってきてくれたり、自分でも気づかないような長所をたくさん褒めてくれたりする人…。
とにかく人が喜びそうなことを次々と与えてくれる素敵な人です。
こういう人たちは、「自分がやりたいと思うからやる!」という気持ちを持っています。
そして、相手への感謝の思いを大切にしています。相手からのお返しを求めているわけではありません。
計算でやっているわけではなく、そのような行動を繰り返し行っていくうちに自然と身についてしまったのでしょう。
人に与えると喜ぶ姿を見られる。その姿を見ると自分が嬉しくなる。そしてまた与えると人は喜ぶ。
これがギブ&ギブです。
ギブ&ギブの精神で与えてもらった人はどう感じるでしょうか?
きっと、「この人のために頑張りたい」「いつももらってばかりだから、いつかお返ししたい」「何か相談を受けたらぜひ協力したい」という気持ちになるでしょう。
そして、何よりも『信頼感』がお互いに芽生えます。この信頼は一時的なものではなく、もっともっと長く続くものです。ビジネスではお客さんから永続的なお付き合いをすることができ、上司や後輩からも慕われるでしょう。
ギブアンドテイクではなく「ギブアンドギブ!!」ギブの回数が多い人ほど、返ってくるものも大きいのです。#与える #ギブアンドギブ #コミュニケーション #人間関係 #悩み #ギブアンドテイクhttps://t.co/8deLYgu4JJ
— Perry (@Perry19871124) March 29, 2020
無理をして「与える」ことをしない
ただし、「ギブアンドギブの精神で、献身的に与えていこう!」と無理をして好意を与えることはお勧めしません。
好きな人に気に入られようと思い、普段とは違う見栄を張った自分を相手に伝えることは、いわば「偽りの自分」を伝えていることになります。
そもそも、気に入られたいと思っている時点で、相手のことを考えておらず自分に意識が集中していますね。
あなたは相手からお願いをされたときにどんな対応をしていますか?
期待に応えよう、手伝ってあげようという思いから何でも「やります!!」と引き受けて優しい自分をアピールすることは、自分は頼りになる人間と思ってもらえるため、とても素晴らしい心がけのように思います。
しかし、無理に引き受けてばかりいるとストレスや気疲れが溜まり、健康状態に影響を及ぼしてしまいかねません。
断ろうとすると今度は、「いつもは引き受けてくれたのに…」「最近冷たいな…」という印象を与えてしまい、あなたの評価はがた落ちです。
一度、偽りの自分を伝えてしまったら、ずーーっと偽りの自分を演じ続けなければなりません。
無理して自分を演じていても、一時的な好印象を抱いてはくれますがその状態は長続きしないものです。
無理して自分を取り繕ってしまう理由は、周りからの評価を気にしてしまうからです。
「気に入られたい」「嫌われたくない」「頼りにされたい」
だから本心では、「まったく、めんどくせーな」と思いながら良い評価を得るために渋々行動するのです。
こういった心は、無意識のうちに態度として出てしまい、相手に伝わってしまいますよ。
それよりも、相手がどう思うかではなく、「自分がどうしたいのか」という視点が大事です。
「気に入られたいから」ではなく、「あなたの喜ぶ顔が見たいから」という相手ファーストの考え方です。
相手に関心をもち、相手を理解し、相手を尊重するということです。
そしてその上で、自分ができる範囲で好意を与えていけばいいのです。
「与える」という行為はとても難しいことです。誰でも利己的な考えを持ってしまうものです。
今までギブ&ギブを意識していなかった人がいきなり実践することは難しいと思います。
テイク、つまり見返りがないとモチベーションが上がらなかったり、集中力が低下して行動量が減る方もいると思います。
しかし、見返りを求めずに無償の愛で、広い心で与えることができれば、きっとあなたの人生は変わるでしょう。
習慣を変えていけば、考え方が変わります。考え方が変われば行動が変わります。行動が変われば、周りも変わっていきます。人との関わり方が、見る見るうちに良くなっていきますよ♪