『話す力』『聴く力』などはコミュニケーション能力を鍛える重要な要素として真っ先に挙げられますが、この『観察力』という能力はあまり注目されません。
しかし、意外とこの『観察力』もあまりないがしろにはできません。対人関係において、相手や周囲の行動を見ていたか見ていなかったかという差は、のちに自分に対する評価や印象に大きく影響してきます。
そこで今回は、コミュニケーションを豊かにするコツとして、『観察力』について見ていきましょう。
観察力とは?
物事の状態や変化を客観的に注意深く見ること。「動物の生態を観察する」「観察力」 ―コトバンク
つまり観察力とは、「物事の状態や変化を客観的に注意深く見る力」ということです。
周りを見る力、情報を収集する力、分析する力も、この観察力の一部です。
観察力がある人の特徴
①好奇心旺盛である
観察力がある人は、とにかくいろいろなことに関心を持っている人が多いです。
自分の好きなことや関わりの大きいこと、興味のある分野などについては、意識しなくても細かく観察するのが人間です。例えば、小さなお子さんがいる人にとっては、自分の子どものする行動については気になってしょうがないと思います。無意識に注意深く観察してしまうことでしょう。
つまり、あらゆるものや人に対する興味や関心があればあるほど、観察力は鋭くなっていきます。
好奇心が旺盛なので、多くのものや人に関心を持ち、そのものや人のことをもっと知ろうと追求しようとするのです。
②知識の幅が広い
観察力が鋭い人は、好奇心旺盛なため知識が豊富な方が多いです。
好奇心旺盛という性格に加えて、ひとつのことに集中する力が長けています。
「こうしろ」「ああしろ」と他人から指示を出される前に、『どうしてこうなるのか』と自分から疑問点を追求していくため、いろいろな情報が舞い込んできてもしっかり覚えていられるのでしょう。
自ら疑問点に関心をもち、人の話もじっくり聴ける集中力があるため、非常に頭がいい人が多いのが特徴です。
③人の気持ちを考えて行動ができる
観察力がある人は、人の気持ちを敏感に感じ取る力がある人が多いです。
『小さな変化に気づくことができる』と言い換えることもできます。
相手と会話している時に、一瞬だけ相手の表情が曇ったとしても、その一瞬を見逃さずに変化に気づくことができる人が、観察力の高い人と言えるでしょう。
相手の些細な変化に反応し、相手がどんな感情を抱いているのかを敏感に感じ取りことができるのです。
相手との関係を良好に保つために、最善な行動をとることができるのも観察力のある人の特徴でもあります。
その人にとってどんな対応をすればいいのか、次の行動のことを考えてアクションを起こせる人です。
観察力がある人は、そんな『気配り上手』な人と言えるでしょう。
④控えめ、消極的なタイプ
消極的と言うと聞こえは悪いかもしれませんが、裏を返せば「聞き上手」な人ということです。
周囲を冷静に観察している頻度が高いので、自分は意見を主張することよりも、聞く側に回る回数がどうしても多くなるのです。
思っていることを上手に伝えられないから聞き手に回るという理由もあります。自分の思っていることを伝えるよりも、人の心を感じ取り、言い争いを避けるような行動をとる傾向にあります。
相手がどういう時にどういう感情になるのか、どんな言葉に反応するのかといったことを持ち前の観察力で把握して、次の自分がとるべき行動を選んでいるのです。
恥ずかしがり屋で、人にどう思われているかが気になってしまうため、余計に周囲を観察してしまうのでしょう。
観察力を身につけるメリット
では、観察力を身につけるとどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
①本心を理解できる
観察力を身につけると、人の心情がわかるようになります。
人は言葉だけでなく、言葉を発しているときの表情や仕草、声のトーンや態度などにもメッセージが含まれています。
相手の表情がこわばっていたり、暗いトーンで話していたら、もしかしたら「つまらない」という感情を抱いているかもしれません。表面上のやりとりだけでなく、相手の本心を知ることにつながります。
特に営業をされる方は観察力を身につけておくといい仕事ができますよ。お客さんが聞きたくてもなかなか聞き出せずにいた場合、その胸の奥のもやもやをくみ取り解消してあげられれば、きっとお客さんは喜ぶでしょう。
②次の行動のことを考えられる
普段から周囲を観察しているようにしていると、人がどんな精神状態でいるのかがよくわかるようになります。
自分が相手に話しかけたときに、その相手がどんな表情だったか、どんな仕草をとったのかなどそのリアクションを意識して見ていれば、次の行動をどのようにとるのか戦略を立てられます。
例えば、話している時につまらなさそうな返事が聞こえたり気持ちが全然違うところに向いているようでしたら、違う話題に切り変えたりする。あるいは、顔がほころんだり上機嫌になる話題やキーワードを見つけたらそれについてもっと掘り下げて話す、といった感じでコミュニケーションでは大いに役立ちます。
相手が喜びそうな行動をとることができるようになれば、「この人は話しやすくてとてもいい人だ」という印象を抱き、良好な人間関係を作ることもできるでしょう。
③要領よく行動できる
観察力を身につければ、周りの空気を読んで要領よく行動することができます。
例えば対人関係で言えば、立場が上の人や模範となるべき人を見つけたら、この人には良く接しようと考えたり、自分が損をしないように立ち回るなど、その場に応じた行動をして乗り切ることが得意になります。
トラブルや困難な出来事に直面したときは、周囲の行動を見ていれば「あの人はこういう方法で解決してきたな」と他人の方法を思い出し、問題の解決へとつなげられます。
観察力が鋭い人は周りの人のいいところを手本とし、あるいは反面教師として、しっかりと見て学んでいます。あらゆる情報を取り入れながら行動し、周囲からも気に入られれば評価も上がるでしょう。
この観察力はビジネスだけでなく、恋愛でも家庭でもいろいろなシーンで応用が利きます。
観察力を通じて相手の理解が深まれば「信頼できる人」として評価されたり、情報通になれば「一目置かれる存在」になったりと、ありとあらゆるところで周りからの評価も変わってきますよ!
観察力を鍛える方法については、別記事でご紹介しております。